プレジデント記事 その1 | エルシー電機のヒーリングスピーカー

サイエンス・学術論文

プレジデント記事・その1

プレジデント2000年1月号掲載

サイエンス・学術論文

2000年1月号のプレジデント掲載記事、水木 楊さんのサイエンステクノロジーコーナーで、高澤先生とその研究が紹介されました。再現性の高いエルシースピーカーが世に出るには、高澤先生とそのご研究があったればこそでした。サウンドデザイナーの石塚が直観と感性で創ってきた音が、高澤先生との出会いで科学的に観察、証明されることになったのです。以下、プレジデント掲載の記事を抜粋して掲載します。
高澤先生によって、21世紀は音や空間の品質が明らかにされていくかもしれません。20世紀後半、水の品質が注目され次々と水が製品化、商品化されたように....

※下記の記事の詳細は、プレジデント2000年1月号の他、書籍 『日本発 トップを切る科学者たち』水木楊著 チクマ秀版社に掲載されています。

さいえんす&テクノロジー

サイエンス・学術論文

高澤嘉光先生  プレジデント2001年1月号より

1942年、石川県生まれ。66年、東京大学工学部計数工学科卒業。同大学大学院、助手を経て、72年、山梨大学工学部計算機科学科助教授に就任。計算機による楽器の自動演奏などを研究する。83年、テレビ朝日の「題名のない音楽会」で、世界ではじめてのコンピュータによるピアノの自動演奏でベートーベン/ピアノ協奏曲第5番「皇帝」を東京交響楽団と共演する。80年より現職。研究分野は電算機科学、音楽音響学。著書に岩波講座情報科学『電子計算機への手引』などがある。

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現代社会には人工的な音が流れている。自動車のエンジン音、街角から流れるスピーカーの声、テレビから飛び出す音楽、コンピュータの冷却ファンの音……。ところが、私たちは意外にも音の秘密をあまり知らない。音はどのようにして出るのか、気持ちの良い音と悪い音があるのはなぜか、なぜ気持ち良かったり悪かったりするのか。 そんな音の秘密をコンピュータを駆使して追求しているのが、電気通信大学助教授の高澤嘉光氏である。世界で初めてコンピュータにピアノ協奏曲を演奏させてしまった人でもある。

東京の調布市にある電気通信大学の研究室を訪れた。
高澤氏は実験室に早速案内してくれる。そこはラジオの放送局のスタジオそっくりの空間で、ミキサーやディレクターのいるようなミキシング・ルームがあり、分厚いガラスを隔てて四、五十平方メートルほどのスタジオがあった。

放送局のスタジオと異なるのは、壁が軟かいのと硬いのと二つあり、交換可能なこと。天井も開閉でき、開くと音を逃がせる。大きさや形の違ったスピーカーが四つ置いてあり、中央に座りながら、使用するスピーカーをスイッチひとつで切り換えられる。ミキシング・ルームで音量や音質を変えることができるのは放送局と同じだが、その他にいくつかのコンピュータが置いてあって、音を解析できるようになっているところが異なる。

「このスピーカーですよ。これが、私のそれまでの常識を覆してしまったのです」

高澤さんはそう言って、四つ並んでいる中で小型のスピーカーの上に手を置いた。
「スピーカーの本を読みますとね、『目方で買いなさい。大きくて重いほどいい音が出る』と書いてある。知人がこのスピーカーを持ち込んできたとき、こんな軽いものは大したことはないだろうと思いました。
ところが、ショパンのピアノ協奏曲を聴いて、驚いた。オーケストラの楽器がはっきり分離して聴こえる。次にリストのピアノ協奏曲を聴き、腰を抜かした。迫力が違う。目の前で演奏しているのではないかと思ったほどでした。

いずれもピアノの音が輝いて聴こえました。生で聴くピアノの音というのは、輝いているのです。それが再現されているということでした」
筆者もスタジオの中央に座って、スイッチを切り換え、四つのスピーカーを試し聴きしてみた。たしかにスピーカーによって、これほど音が違うのかというほど違う。高澤さんが手を置いたスピーカーからは透明な響きが伝わってきた。

― どこがどう違って、こんな音になるんでしょうかね。

「ここの部分が違うのです」
スピーカーには外に音を送り出すラッパがある。高澤さんはそのラッパの外線部分を指した。その部分は....<中略>

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高澤さんの研究室には赤い色の古ぼけた、小さなパソコンが置いてある。一九七九年に登場した最初のパソコンだそうで、今年が二十年目。パソコンの登場によって、大学の計算機室に入らなくても、誰でも自分の部屋でコンピュータを使えるようになった。
それが高澤さんの研究を飛躍させ、世界で初めてコンピュータにピアノを演奏させる快 挙につながった。八三年一月、テレビ朝日の 「題名のない音楽合」 で東京交響楽団とベートーベンのピアノ協奏曲第五番「皇帝」を競演したのである。

「歴史を振り返りますとね、新しい産業技術が開発されますと、すぐに音楽の世界に適用されています。例えば製鉄技術が確立されてピアノが生まれ、木工の技術が進んだからバイオリンが登場した。今世紀で言うとエレクトロニクス技術はたちまち音楽に取り入れられた。いまは何かというと、コンピュータですね。
また逆に、音楽のために新しい技術を開発しようという動きにもなっている。新しい楽器を作りたい、新しい音はないか、良い音を生み出したい、そのための技術を開発したいというわけです」....<中略>

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― 将来はピアノだけではなく、他の楽器にも演奏させることができるでしょうね。そうすると、高澤さんはオールマイティの指揮者のようにもなりますね。

「まさにそうなんですよ。でもね、よくよく考えてみれば、指揮者というのはまず音をつくらなければならない。バイオリンの弾き方とか管楽器の吹き方とかを決める。そのうち、だんだん自分のつくった音で、自分の音楽を演奏してみたいという気持ちになりました。そうなると、何が必要かというと、楽器の構造を研究しなければなりません。なぜ音というものが出るのかという問題です」  高澤さんは自製の三味線のような楽器を取り出してきた。その弦を爪弾くと、何の変哲もない音がビンと鳴る。続いて、白板に楽器と弦を横から見た図を描く。「この弦の真ん中をつまんで、手を離したら、弦はどういう形になって振動すると思いますか」

― さあ、上下に振動するのではないですか。

「上下には振動しますがね、つまんだときの三角形が何度も繰り返して再現するのかどうか。どう思いますか」

筆者も編集記者も首をひねるがわからない。高澤さんは弦の上に点線を描いた。
「実は、こういう形の台形になるんですよ。これはあまり知られていない。音をコンピュータで解析して分かった。それで本当にそうなのか、特定の測定器を購入して、観察してみたのです。レーザーを使って一ミリの一万分の一まで測定する。レーザー変位計です。すると、想像したとおり、やはり台形の波になっていた。それと、私たちは弦楽器、弦楽器と簡単に言いますが、弦の音を聴いているわけではない。弦が振動する音なんてほとんど聴こえませんよ。弦の振動が響板に伝わって、音がする。すると、大きな影響を持ってくるのが空気の影響なんです。過去の物理学は真空中の響板の振動しか考えなかった」

― 真空中だと、音がしませんね。

「しないだけではなく、例えばティンパニの膜ですが、空気中だと、真空の場合の七割くらいしか振動しません。空気の抵抗があるからです。その空気もどのような環境にあるかによって、楽器の響きが違ってくる。残響の問題ですね」

最初に案内してもらった実験室のことを思い出す。高澤さんによれば、壁の硬軟を変 えたり、天井を開閉したりして、この実験室では音の残響時間を〇・四秒から二秒まで調節できるのだそうだ。実験室の中の場所によっても音の響きが違うらしい。ちなみに音響効果の良いことで知られるサントリー・ホールの残響時間は三秒だという。空間が大きいほど残響状態をつくりやすい。 「残響をできるだけゼロに近づけて、再現性がどれくらいあるかを数値化してみる。そのような測定方法を提案しています」

― でも、再現性を数値化して、このスピーカーは一〇〇パーセントだとか、七〇パーセントだとか表示できるようになると、スピーカー・メーカーは困るんじゃないですか。

「いや、困らないと思います。例えば、カラオケに使うスピーカーなどは、あまり再現性が高いと誰も使わなくなる。下手がそのまま出てしまいますからね。それから、車の中にセットするスピーカーもあまり再現性が高いと、真剣に聴いてしまうから、事故を起こしやすくなります。ほどほどがいい。
逆に教室の講義などは、先生の声の再現性の高いスピーカーを使うほど、学生が眠らなくなりますよ。私はスピーカーを取り替えて実験してみたのです。声が生に近くなり、臨場感が出て、緊張感が出ると学生たちが言っていました。
それに、残響時間の好みは演奏者によっても、楽器によっても違う。私は津軽三味線が好きで、よくここに来ていただいて弾いてもらうのですが、音の研究を進めていけばいくほど、良い音、悪い音、人の耳に心地良く響く音、そうではない音というのは、どこがどういう風に違うのかを解析しなければならないと思うようになりました。
良い、悪いを料学的に検証しなければ、いくら評論家のように偉そうな顔でコメントしても、趣味の問題になってしまうのですから」

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― きれいに聞こえる音というのは、科学的に言うと、どういう音なのですか。

「それはね、少し専門的になりますが、自然界の音は一般にたくさんの周波数の青から成り立っている。きれいに聞こえる音の場合、その周波数が簡単な整数比になっているのです」

このあたりは少々難しい。一定の時間に音は波を描く。その波の数が多いほど音は高くなるし、少ないほど低くなる。それは小学校か中学校の物理で習ったことだが、音の波が整数比というのは、波が上下対照のカーブを描きながら、ある短い時間ですべての音が、スタート時点の位置に戻ってくる。中途半端な位置で、つまり整数以下の小数点 の位置では終わらない。

- 整数比だと、どうして人間はきれいな音だと思うのでしょうかね。

「たとえば、ドレミファソラシドですが、あれは整数比に非常に近い。人間は整数比の音波なら自分の聴覚で非常に短時間で解析できる。つまり、聴覚が簡単に分析できるということです。」

- つまり分かりやすいということが、きれいな音になるということですか。整数比ではないということは、波がぐちゃぐちゃで、不規則に並んでいて、分かりにくいということですか。

「そうですね。音階がないとも言えます。音の高さの程度を感じ取ることができない。いくら玄人でも、太鼓の音を聴いただけでは、あれはドだとか、ラだとか、ソだとかを感じ取ることはできないでしょう? ティンパニは、整数比の音になっているのですよ。だから、オーケストラに参加できる」 ....<中略> 

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― これからはどういう分野に研究を進められていくおつもりですか。

「人間にとって気持ちの良い音を調べるには、逆に気持ちの悪い音というのはどういうものか突き止める必要があります。実は心地良い音と不快な音というのは紙一重でしてね。ガード下に立って開く電車の音は不快ですが、あれは小さければ、何も感じない。どんなきれいなピアノの音でも、ガンガン鳴らせば不快に聞こえる。
これまでに分かったことは、快不快は音のレベルがすごく重要だということです。だから、学生たちにありとあらゆる音を録音させに行ってます。交差点の騒音とか、電車の車輪のきしむ音とかですね」....<後略>

本のご紹介

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上記の記事の詳細は、2001年1月号プレジデント及び、右写真の水木楊さんの本の中に全文紹介されています。ご興味のある方は是非ご覧ください!

『【日本発】 トップを切る科学者たち』
水木 楊著  チクマ秀版社
四六判上製 定価本体1,600円(税別)

 

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